IT導入補助金イメージ

知っておきたい「IT導入補助金」のこと

いまや経営は、ITを活用して合理化・効率化していく時代になりました。
あらゆる業種で導入されているIT技術ですが、やはりどうしても導入費用がかかってしまいます。

しかし、導入費用を気にしていては、売上を上げていくのは難しいというジレンマがあります。

そんな事業者のために設けられている補助金が、「IT導入補助金」です。
今回は、この補助金の概要と目的、具体的な募集条件、平成28年度補正の募集時期についてご紹介します。

IT導入補助金の目的と概要

IT導入補助金の正式な事業名は、「サービス等生産性向上 IT 導入支援事業」は、中小企業や小規模事業者等がITツール(ソフトウェア、サービス)を導入する際の経費の一部を補助することを目的に開始されました。

ITの導入による生産性向上の計画を策定し、ITベンダーや専門家からの支援を受けることで事業の効率化を目指していきます。

補助を受ける事業者は、事業計画の作成、労働生産性向上に関する情報提供、完了報告、事業実施効果の報告が必要となります。

>>IT導入補助金の公式ページはこちら

補助金の対象者と補助金額

・補助対象となる事業者
この補助金を申請できる事業者は、中小企業等になります。厳密には、中小企業
等経営強化法で定められている事業者となります。

対象となる業種も、製造・建設・運輸業、卸売業、サービス業、小売業、ゴム製品製造業、ソフトウェア・情報処理サービス業、旅館業などがあり、企業組合等の組合や医療法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人も対象です。

・導入できるITツール
導入できるITツールは、あらかじめ事務局からの承認を受けたツールとなります。

・補助金額
補助金全体の予算としては100億円の大規模なものです。
一事業者の補助上限額は100万円、補助下限額は20万円となります。
補助率は2/3以内となっています。

なお、経費区分については、IT導入支援事業者等に問い合わせてください。

補助金の申請条件

・申請条件
申請にあたっては、本事業を実施することで労働生産性が向上することを示す計画書の作成が必要です。

具体的には、3年後の伸び率1%以上、4年後の伸び率1.5%以上、5年後の伸び率2%以上、またはこれらと同等以上の生産性向上を目標とする計画書を作成する必要があります。
さらに、導入予定のITツールによる生産性の向上を評価するために、独自の数値目標を設定する必要があります。

さらに、補助事業開始から2021年3月まで、
① 生産性向上を報告するための情報(売上、原価、従業員数と就業時間)
② 導入したITツール等の生産性向上指数に類する独自の数値目標にかかわる情報
を報告していくことが求められます。

募集時期と必要書類

・募集時期
交付申請期間は、平成29年3月31日から平成29年6月30日17時までとなっています。
事業実施期間は、補助金の交付が決定してから平成29年9月29日までとなっています。
完了報告をすることが必要となっており、その報告期間は、事業完了日から起算して30日を経過した日または平成29年9月29日のどちらか早い日までとなっています。

補助金交付にあたっての審査項目

審査項目は、

① 事業面の具体性(業務改善のこれまでの取り組み、自社事業の強み・弱み、事業課題、将来計画、IT導入による効果)
② 補足説明事項(経営改善の問題意識、計画の整合性、IT利活用の適合性、地域モデルとしての取り組みとなるか)
③ 計画目標値(労働生産性と独自指標による向上率)
④ 関連事業について(おもてなし規格認証2017の取得の有無、専門家からの事業計画書作成支援の有無、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定の有無)

が挙げられます。

必要書類としては、補助事業者情報登録申請書、事業計画書、導入ツール申請書、宣誓事項があります。

>>詳しくは公式ページをご覧ください

つぎに、ITベンダーにとってのメリット、業務内容、登録方法について解説していきます。
この補助金は、ITツールのユーザーとなる中小企業はもちろんのこと、ITベンダーにとっても大きなメリットがある補助金です。

IT導入補助金の概要とITベンダー側のメリット

「サービス等生産性向上 IT 導入支援事業」、通称「IT導入補助金」は、ITツールの導入による中小企業の業務効率化を図ることを目的としています。

ITを用いたサービスやソフトウェアを導入したい中小企業を対象に、その導入費用を補助する事業です。

この補助事業では、ITベンダーをとりまとめながら補助事業を推進していますので、ITツールを提供するベンダー側もこの補助事業に登録しておくと大きなメリットがあります。

IT導入を前向きに検討している中小企業に対し、自社のサービスやソフトウェアの販売を促進することができるのです。

たとえば、自社のECサイト構築サービス、予約管理システム、決済サービスなどのITツールの販売を促進することができます。

>>IT導入補助金の公式ページはこちら

補助率と募集期間

本補助事業では、ユーザーとなる中小企業に対してその導入費用を補助します。内訳は以下のとおりです。

中小企業の費用負担:1/3
補助事業の費用負担:2/3

このように、ユーザー側としては非常に低価格でITツールを導入できることになります。価格の面で導入をひかえていた潜在顧客に対しても自社のサービスを提供することができるようになります。

平成28年度補正分の二次募集期間は、

平成29年2月10日~平成29年5月31日まで

となっています。

>>詳細については公式ページの募集要項をご覧ください

登録方法

ITベンダーは「IT導入支援事業者」として登録することになります。

登録方法は電子申請になります。補助事業の事務局が提供するポータルサイトのアカウントを発行してもらい、必要な情報を登録します。その後、外部審査を経て採択の可否が決まります。

登録要件

IT導入支援事業者として登録するためには、主に以下の要件を満たす必要があります。
(>>詳細は募集要項をご確認ください)

  • 日本国において登録された法人である
  • 安定的な事業基盤を有している
  • 経済産業省の所管補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止措置を受けていない
  • 事務局が定める要件を満たすITツール(ソフトウエア、サービス等)のサービスを提供できる
  • IT導入支援事業者またはコンソーシアムを構成する構成員のうち1者以上は、ITツール(ソフトウエア、サービス等)のサービスを提供した実績を有している
  • 本事業期間を通して、補助事業者への十分な支援(導入支援、定着支援、活用支援、フォローアップ)を行える体制を整えられる
  • 本事業に携わる部署において情報セキュリティ対策の管理が実施されている
  • 補助事業後に行う定期報告において、補助事業者の同意を得て、その情報を提供できる

ベンダーの業務

IT導入支援事業者は、ユーザーに対してさまざまなサポートをしていく必要があります。
業務内容は以下の流れとなっています。

  1. 自社サービスを含め、サービスをとりまとめてサービスパッケージとして事務局に登録する。
  2. 補助事業の実施について周知する。金融機関、商工会議所などの中小企業支援機関、自治体、よろず支援拠点などと連携して情報共有し、経営力向上・IT基盤整備支援事業のマッチングイベントに参加するなどの情報発信を行う。
  3. ユーザーとなる中小企業の事業計画作成を必要に応じて支援する。事業計画は、IT導入支援事業者あるいは外部の専門家の協力により作成します。さらに、交付申請手続きを代行する。必要書類をとりまとめ、事務局に提出する。
  4. 交付決定が行われたら、ITツールを導入する。
  5. ITツール導入が完了したら、事業完了報告書を事務局に提出する。
  6. ホームページ等を通じて、補助事業の実施状況を定期的に報告していく。中間報告会によって実施内容や状況についての情報共有を行う。
  7. ITツールを導入したことによる成果を報告する。売上高、原価、従業員数、就業時間などの数値指標をもとに生産性向上が評価される。
  8. 補助事業者からの問い合わせや相談に適宜、適切に対応することが求められる。

まとめ

今回は、IT導入のための費用としてうってつけの「IT導入補助金」についてご紹介しました。
幅広い業種や事業に対応した補助金ですので、もしIT技術の導入によって生産性の向上が見込めるのでしたら、迷わず申請してみることをおすすめします。
またITベンダーにとっても、費用の面で導入をためらっていたユーザーに対しても自社のサービスを提供することができるよい機会となりますので、ぜひ登録をご検討されることをおすすめします。