本年度も「小規模事業者持続化補助金」の公募が開始されます。

今回は、これまでセミナーや書類作成支援などで多くの経営者様のお手伝いをしてきましたノウハウをご提供しながら、小規模事業者持続化補助金の採択されるための事業計画書の作成方法について解説していきます。

不採択となる計画書のパターン

小規模事業者持続化補助金を申請するためには、「経営計画書(様式2)」と「補助事業計画書(様式3)」を作成する必要があります。

しかし、残念ながら不採択となってしまう計画書は、以下の3つのパターンに大別できます。ご自身で作成された計画書が当てはまっていないかどうか、チェックしてみてください。

補助金の趣旨を把握できていない

小規模事業者持続化補助金は、補助金を活用することによって、小規模企業を持続化させ、日本経済全体の底上げを狙う趣旨で実施されています。

当然、この趣旨に沿った計画書が採択されるわけです。すなわち、「持続化させる」=「中長期的な経営計画のもとで補助金がどうしても必要だ」ということがわかる計画書でなければならないということです。

いいかえれば、自社の「経営の状況や目標を明確化し、経営の目標を達成するための方策として、補助事業(=販路開拓につながる取り組み)を実施する」というストーリーが計画内容からわかるものでなければなりません。

計画書のボリュームが少ない

様式2と様式3の内容で採択か不採択かが審査されます。
しかし、この様式2、3の計画内容がそれぞれ1ページ程度のボリュームしか書いていない方が結構います。

公募要領内の例を参考に作成された方のほとんどがこのパターンに該当します。審査時には計画内容が明確でないものは不採択になってしまいます。

審査する方に計画内容がわかるように一定程度のボリュームは必要です。
わたしの場合、「経営計画書(様式2)」は2〜3ページ程度、「補助事業計画書(様式3)」は3〜4ページ程度記載するようにアドバイスしています。

審査のポイントを押さえていない

計画書のボリュームが少ないからといって、もちろんこれは中身のない文章を増やせばよいということではありません。

事業計画の内容を重複や過不足なく、書類上にまとめるために、最低限のボリュームが必要になってくるということなのです。

それでは一体、どのような項目を「経営計画書(様式2)」と「補助事業計画書(様式3)」に記載していけばよいのでしょうか。

それは、審査のポイントを押さえた項目を記載するということです。

審査のポイントは、「公募要領」に記載されています。それぞれの項目について解説していきます。

審査のポイントとは?

採択される計画書を作成するためには、公募要領に記載されている「審査の観点」を押さえなければなりません。

いくら事業内容が素晴らしいものであったとしても、審査員の方にうまく伝えられなければ、不採択となってしまいます。

審査員の方に事業内容を的確に伝えられているかどうかのチェックポイントが、「審査の観点」です。

①自社の経営状況分析の妥当性
・自社製品・サービスの強みを適切に把握しているか
②経営方針・目標と今後のプランの適切性
・経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みやターゲット市場の特性を踏まえているか
③補助事業計画の有効性
・具体的で実現性が高いかどうか
・地道な販路開拓を目指すものとして経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか
・小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか
④積算の透明・適切性
・事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものか

事業計画書に記載すべき内容とは?

それでは、「経営計画書(様式2)」と「補助事業計画書(様式3)」に記載すべき項目について、上記項目に留意しながら解説していきます。

わかりやすくするために、「様式3」から考えていきましょう。

1.補助事業の内容(様式3)

ここでは補助金を活用して実施する事業内容を記載します。
以下の点に留意しましょう。
・具体的で実現性が高いかどうか
・地道な販路開拓を目指すものか
・小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか

さらに、ここでは、
・自社製品・サービスの強みを活かすものであるか
・ターゲット市場の特性を考慮しているか
・経営方針・目標と今後のプランに沿ったものであるか
という点を十分に考慮して記載するようにしましょう。
これらは様式2の「1.企業概要」「2.顧客ニーズと市場の動向」「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」「4.経営方針・目標と今後のプラン」に記載する内容でもあります。

しっかり自社の経営状況を分析して、中長期的の視点において有効かつ必要な補助事業でなければならないということですね。

2.経費明細表(様式3)

事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に本当に必要なものか、検討しましょう。

順序が逆になりますが、続いて「様式2」についてみていきましょう。

1.企業概要(様式2)

売上の構成や推移、顧客、商品・サービス、販売促進方法などを記載します。

2.顧客ニーズと市場の動向(様式2)

顧客ニーズや、今後の市場動向について記載します。

ここは様式2の補助事業の内容と密接に関連しています。すなわち、補助事業が自社の顧客ニーズと市場動向をふまえたものでなければなりません。

3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み(様式2)

自社の強みを記載します。競合他社との比較分析などを記載します。

ここも様式2の補助事業の内容と密接に関連しています。すなわち、補助事業が自社の強みを活かす内容でなければなりません。

4.経営方針・目標と今後のプラン(様式2)

自社の強みやターゲット市場の特性をふまえ、今後の「1〜3年」もしくは「1〜5年」先に「こういった会社にしたい」というビジョンを記載します。

ここも様式3と深く関連します。「今後の目標を達成するための経営課題を解決するために、補助事業を実施する必要がある」というストーリーが見えなければなりません。

ここは計画づくりをする際に、一番大切なところです!

具体的には、
・「こういった会社にしたい」というビジョン
・ビジョンをふまえ、取り組むべき経営課題
・1〜3年もしくは1〜5年先の売上・利益の目標
・目標を達成するための具体的な手順
などを記載するとよいでしょう。

具体的にどう考えればよいか?

書き方の基本はわかったけど、具体的にどう書けばよいかイメージがわかないという方も多いと思います。
そこで、小規模事業者持続化補助金の事例集についてご紹介します。

全国の小規模事例者の実践例が盛りだくさん!

経営計画を練って、それを実践する。
大事なことですが、なかなか実行できないのが現実ですよね。

そんななか、きちんと実践に移して成果をあげている小規模事業者さんはたくさんいます。

それを伝えてくれるのが、「小規模事業者の経営計画作成・実践事例集」。
この事例集は、日本商工会議所のホームページから閲覧できます。

冊子がPDFファイルでダウンロードできます。

47都道府県の小規模事業者の実践例がたくさん掲載されています。
その地域ならではの事業もたくさんありますし、小規模事業者にしかできない奇抜な事業も数多く掲載されています。

各ページに各地域の事業例が掲載されています。
その地域の商工会議所の支援担当者からのコメントも付いているのが読みどころです。

閲覧してみるだけでも、楽しい内容になっていますよ!

採択された過去の事業

「小規模事業者持続化補助金」の事業計画を作成する際、
過去に採択された事業計画のテーマに目を通してみることをおすすめいたします。

類似のテーマや同業種のテーマなど参考になることがたくさんあると思います。

日本商工会議所の採択者(平成27年度補正)
全国商工会連合会の採択者(平成27年度補正)
全国商工会連合会の採択者(平成26年度補正1次受付)
全国商工会連合会の採択者(平成26年度補正2次受付)
全国商工会連合会の採択者(平成26年度補正追加公募)

どんな事業計画のテーマが採択されているの?

さまざまな業種の小規模事業者さんが、商工会議所の支援のもと経営計画を立て、補助金を活用しながら事業を推進しています。

以下は、全国の各業種の取り組みを少しピックアップしてみました。
(より詳しい内容を知りたい方は、ぜひこちら(2015年の事例集のページ)をクリックしてみてください。)

製造業

大阪府にはスノーボードやスキーのプロテクターを製造するメーカーがあります。
それが「有限会社ベイリーフ」さん。
採択事業計画名は「医療・介護用途に常時装着を可能にする予防プロテクターの新規商品開発」です。

ベイリーフさんは補助金を獲得し、作成した経営計画のもと安全の啓発に取り組んでいます。

安全注意を喚起するパンフレットを作成し、安全に楽しむためにプロテクターが必須であることを購入者にわかりやすく伝えています。

卸売業

青森県で地場産品の卸売業を営む、「株式会社和がや」さん。
採択事業計画名は「活魚、鮮魚の地産地消の推進と鮮魚を活用した加工品開発事業」です。

和がやさんは、実は居酒屋を営んでいましたが、さらに経営計画を練られたようです。
補助金を得て、地場産品の鮮魚を卸売りしています。

これで作ったチラシ配布で認知度が高まり、鮮魚の卸先は20店にまで増えたそうです!

小売

愛知県で農産物の小売業を営んでいる「株式会社あいさいか」さん。
採択事業計画名は「新鮮で安全なレア特産品のPRによる販売促進事業」です。

あいさいかさんは、小売店が減少していく地域を活性化するために産直所を立ち上げました。

チラシの作成、広報誌への広告掲載、巡回バスの車体広告などの販売促進に取り組みました。
「広告の効果を実感」できたと、町の活性化に意気込みを見せています。

サービス

北海道にある小さな写真館が補助金を手にしました。
「有限会社モリヤ写真館」さんです。
採択事業計画名は「新たな成長の柱と位置付ける『ニューフォトスタイル』事業の体制整備と効果的な市場浸透」です。

この写真館を経営する守谷さんは、広告宣伝力などSWOT分析で弱み・強みを分析しました。
そのおかげで、
「経営計画に基づき企画、販売促進することで写真館の未来が見えてくるよう」
と語っています。

建設

地産地消にこだわって木造住宅を作っているのは、「株式会社明城」さんです。
採択事業計画名は「独自開発したパネル工法(国産無垢材100%使用)の普及促進=告知する」です。
明城さんは、県や大学と共同して新木造工法の開発に取り組んでいます。

高品質・低価格の住宅を提供する技術はありましたが、告知力が課題でした。
そこでホームページ、パンフレット作りをすることで新たな受注につなげています。

まとめ

今回は、小規模事業者持続化補助金の事例集についてご紹介しました。
へ〜と思わずうなずいてしまうような事業計画がたくさんありましたね。

小規模事業者が活躍できる場面はたくさんあります。
事業計画の卵をお持ちなら、ぜひ小規模事業者持続化補助金に挑戦されることをおすすめします。