中小企業の経営者の皆さんは、一度雇った従業員には長続きして欲しいと考えるでしょう。大企業などは例年、助成金を活用できるかどうか、情報を素早くキャッチして、利用しようとします。もちろん中小企業としても活用したいものです。
厚生労働省は雇われた労働者の意欲と能力を向上させ、事業経営の生産性と優秀な人材を確保するため「キャリアアップ助成金」制度を提供しています。
いくつかコース別に区分されていますが、今回は「人材育成コース」のポイントをご紹介します。申込先は管轄する労働局・ハローワーク・助成金センターになります。
- キャリアアップ助成金(人材育成コースとはなにか)
- 助成対象となる3つのパターン
- 支給金額はどれくらい?
キャリアアップ助成金(人材育成コースとはなにか)
キャリアアップ助成金は、国が非正規雇用の従業員のキャリアアップを促すため、事業主に助成する助成金です。正社員化、人材育成、処遇改善といった取り組みに対して、助成を受けることができます。
なかでも「人材育成コース」は、職業訓練を通じて、従業員の知識・技能を向上させ、事業経営の支えとなってもらう目的があります。労働意欲を向上させることは、経営者にとっても従業員にとっても互いにプラスとなる相乗効果を狙えます。
助成対象となる3つのパターン
では、いったいどのような取り組みが助成の対象になるのでしょうか?
対象となる取り組みは以下の3つのパターンに分類されます。
一般職業訓練(Off-JT)
職場以外での職業訓練(Off-JT)が対象になります。
ただし次の条件のすべてに該当しなければなりません。
・1コース当たり1年以内の実施期間
・1コース当たり20時間以上の訓練時間数
・通信制の職業訓練ではないこと(スクーリングがあるものを除く)
・認められた教育訓練機関で行う訓練
公的な教育訓練施設や、民間の教育訓練施設があります。民間の場合、キャリアップ助成金の対象になることを表示していることが多いので、事前に確認しましょう。
有期実習型訓練
自社内で実施する職場での実習(OJT)と、職場以外での教育訓練機関などでの訓練(Off-JT)を組み合わせて実施します。
「ジョブカード」を活用した3~6カ月の職業訓練であり、訓練時間が6カ月当りの時間数として425時間以上が必要です。
中長期的キャリア形成訓練(専門実践教育訓練)
厚生労働大臣が指定した講座が対象となります。
指定された講座はこちらから確認することができます。
看護師、保育士、美容師などの国家資格、職業実践専門課程、専門職学位指定、職業実践力育成プログラム、情報通信技術の資格取得などがあります。
支給金額はどれくらい?
Off-JTの場合
「賃金助成」と「経費助成」、両方が支給されます。
賃金助成とは、従業員に支払う給与に対して助成されるお金です。賃金助成は1人1時間当たり800円です。
経費助成とは、教育訓練期間に対して支払う従業員の教育費に対して助成されるお金です。
経費助成はOff-JTの訓練時間数に応じて支給されます。1人当たりの支給金額をまとめたものが以下の表です。
一般・有期実習型・ 育児休業中訓練 |
中長期的キャリア形成訓練 | 有期実習型訓練後に 正規雇用等に転換された場合 |
|
100時間未満 | 10万円 | 15万円 | 15万円 |
100時間以上 200時間未満 |
20万円 | 30万円 | 30万円 |
200時間以上 | 30万円 | 50万円 | 50万円 |
OJTの場合
OJTの場合は、賃金助成のみが支給されます。1人1時間当たり800円です。
なお、1年度1事業所当たりの支給限度額は500万円です。
まとめ
国が提供している助成金制度は多くあります。活用しないともったいないと思いませんか。必要書類などは、申請書の他多数ありますが、会社が日頃から行っている出勤簿・タイムカードの管理・賃金台帳の作成は必要書類の一部になっていますから、大事に管理・保管しておきましょう。
キャリアアップ助成金制度は、まだしばらく生き続ける制度と考えられます。会社の社員教育費は経費ですが、助成金で補完して、社員の質の向上による売上・利益を高め、キャリアアップ支援策を是非活用してください。